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Short story

  • 2018年10月1日

世に飛び交う気になる言葉-日本人が減る-

 前回、論じた『日本人口の動向-静止人口をめざして-』から、当時の政府の感覚がよくわかるので、「国連世界人口会議対処方針についての意見」(昭和49年4月15日)の第5項(P452)[1]を引用してみましょう。

 

 さらに将来人口に眼をむけると、現在の1億人口は一夫婦あたり平均2.1人の子供をもっている。この数が続けば純再生産率が1となり将来に成人2人を残し、両親と同じ数で置きかわるから、人口はやがて横ばいとなり静止するが、その時期は21世紀にはいり2030年以降1億3千500万の人口規模を維持することになる。つまり、やがて人口が静止するにしても現在の東京都の人口1千100万の3倍もの人口がさらにつけ加わるということである。それがもし、一夫婦が平均2.0人の子供をもつとすれば、この子供数0.1人の差がもたらす将来人口は2010年に1億3千万弱でピークとなり、その後はゆるやかに減退する。しかし、現在の1億人口の水準にもどるのは、21世紀うちは無理で、22世紀の半ばまで、これから先180年を要することを知らなければならない。

 

 当時、政府が人口を減らしたがっていた、少なくとも、人口増加を抑えたかった気分が伝わってきませんか。この年は第二次ベビーブームの最中で、残る半年の出生数いかんによっては前年の出生数ピークを更新するかもしれない状況でした。しかし、政府の呼び掛けが奏功したせいでしょうか、出生数は、昭和49年(1974)203万から昭和50年(1975)190万へと確かに減ったのでした。以後、日本では、年間200万の出生数を越えたことはありません。

 つい先日、2016年、2017年の出生数が二年続きで100万人を割ったと報道され、社会に衝撃を与えました。200万台の出生数を最後に記録してから40年を経過し、100万を割り込む低出生数時代に入りました。2018年もきっと同じことが起こり、この傾向は当分、続くと見られています。お母さんになる女性の数が減っていますから、出生『率』を上げたとしても、出生『数』を回復させることは容易ではありません。

 

 2018年7月の総務省の発表[2]によると、住民基本台帳から見た2018年1月1日現在の日本人住民は125,209,603人で、前年比374,055人の減少、減少幅は調査開始後最大でした。37万人の人口減少というと、長野市、豊橋市、吹田市など名だたる地方都市が消えてしまうことに相当します。こうした日本人の減少が2009年(平成21年)から9年間連続して起きているというのです。一方、外国人住民は2,497,656人で前年比174,228人(7.5%)の増加です。日本人は生まれる数より亡くなる数が多く、外国から移り住んだ住民が大きく増加しても、補填しきれないほどなのです。

 日本の人口は、昭和42年(1967年、明治100年)に1億人を超え、平成22年(2010年)の1億2800万人をピークに減少相に入った姿は図のようです[3]

 


 

 こうしてみると、現在の日本の人口問題(少子高齢化、労働人口不足、外国人労働者増加、ひいては消滅可能性都市、デフレ問題、年金問題など)は、1970年代あたりから人口抑制に関する政府の唱導があったことにも原因があるのかもしれません。初めに狙ったところ(静止人口)を超えて出生率がさがり続け、静止人口をもたらす合計特殊出生率2.07に戻すことができなくなってしまったように見えます。

 昭和49年ころは常識だった国民皆婚が、40年後、生涯未婚率が急増し、男性で23.4%、女性で14.1%にのぼる(2015年国勢調査) など、当時は想像もできない事態でした。

 


[1]『日本人口の動向』(人口問題審議会編)巻末「国連世界人口会議対処方針についての意見」(昭和49年4月15日)の第6項(P452)http://www.ipss.go.jp/history/shingikai/data/101955.pdf
[2] 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成30年1月1日現在)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei02_02000177.html

[3]国立社会保障・人口問題研究所/人口統計資料集2018年版/表1-3
http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/P_Detail2018.asp?fname=T01-03.htm&title1=%87T%81D%90l%8C%FB%82%A8%82%E6%82%D1%90l%8C%FB%91%9D%89%C1%97%A6&title2=%95%5C%82P%81%7C%82R+%91%8D%90l%8C%FB%81C%90l%8C%FB%91%9D%89%C1%81C%90%AB%94%E4%82%A8%82%E6%82%D1%90l%8C%FB%96%A7%93x%81F1920%81%602016%94N