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Short story

治験にまつわる実際の話(1)二重盲検試験用の治験薬の製造(その1)

 二重盲検比較試験は、すでにご説明したとおりですが、被験薬(開発中のおクスリ候補)をプラセボ、あるいは、すでに使われている標準的なお薬と比較するため、治験担当医にも患者さまにも、そして治験を依頼している製薬会社にも、患者様がいずれを飲んだか分からないようにした試験のことです。

 この時、被験薬と対照薬(比較薬)との外観が全く同じように製造しなければなりませんが、どのようにしたらよいのでしょうか?

 

被験薬と対照薬の外観

 通常、被験薬と対照薬の外観は異なっています。飲み薬に限ってみても、剤形には錠剤やカプセルなどが考えられます。同じ錠剤、あるいはカプセルでも外観が異なるのが普通です。

治験では、被験薬や対照薬がカプセル剤や錠剤など、いろいろな場合が考えられますが、本来、外観が異なる被験薬と対照薬(既存薬の場合もプラセボの場合もあります)の外観を同じに作るのは、工夫が要ります。順を追ってご説明しましょう。

 

最も容易な治験薬の製造

 最も分かりやすいのは、被験薬がカプセル、対照薬がプラセボで、被験薬の一用量をプラセボと比較する場合です。これは図のように製造すればよいことがお分かりでしょう。1回ごとに図で示されたカプセルを飲むことになります。

 

  【被験薬(カプセル)一用量をプラセボと比較する治験薬】

 

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  ※ここでは、図の上で区別するためカプセルの色を変えてみましたが、
   実際は同じ色のカプセルにすれば、外観が同じになります。

 

複数用量を一種類のカプセルで比較する場合

 高用量、中用量、低用量の三用量をプラセボと比較する場合、一種類のカプセルサイズを用いる方法があります。カプセルは限度以内なら、被験薬の量を変え添加剤の量を調整して充填できますので、仮にカプセルを開いても通常は区別がつきません。

 

  【被験薬(カプセル)三用量をプラセボと比較する治験薬(カプセルサイズ一種)】

 

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  ※ここでは、図の上で区別するためカプセルの色を変えてみましたが、
   実際は同じ色のカプセルにすれば、外観が同じになります。

 

複数用量を一種類、複数個のカプセルで比較する場合

 一種類のカプセルしか使えないと、高用量の薬剤量をカプセルに詰められないことがあります。その時は、5 mg,  10 mg,  15 mgのような倍数の用量設定であれば、次のような方法が可能です。

 

  【被験薬(カプセル)三用量をプラセボと比較する治験薬(カプセルサイズ一種)】

 

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  ※ここでは、図の上で区別するためカプセルの色を変えてみましたが、
   実際は同じ色のカプセルにすれば、外観が同じになります。

 

 今回はこのあたりまでとして、次回は、応用編を考えてみましょう。