- 2016.07.01
開発段階の話①-フェーズ1って、なあに?
新薬の開発とは、薬としての有効性・安全性がまだ証明されていない候補品について、厚生労働省が薬であると承認するに足りる有効性と安全性を証明することです。そのため、患者さまに使っていただき、薬の効果があるのか、安全に使うことができるのか、どのような副作用がどの程度の頻度で出るのか、確かめる必要があります。
このように、実際に薬の候補品(治験薬といいます)を患者さまに使っていただき(治験)、この治験の結果は、承認申請として将来、当局に提出されます。治験は申請までに、大きく三つの段階に沿って実施され、それぞれの段階で異なった目的が設定されています。
第一相(フェーズ・ワン)は、薬の候補品(治験薬)が初めて人に使われる段階です。
そのため、実験動物を用いた試験によって、薬の効き目が期待できそうで、人に安全に使えそうなことが示唆されていることが重要です。この相(フェーズ)では、通常、健康な人を対象に、血液中の薬の濃度と時間推移、さらには尿中に排泄された薬(またはその代謝物)の量を測定することが目的です。これを血中動態といい、薬を使う頻度(たとえば1日に何回使えばいいのか)を決める重要なデータとなります。そのため、あらかじめ決められたタイミングで採血し、尿を貯めることがこの試験の特徴です。
また、服用しても薬が血液中にいかないことが分かれば、飲み薬でなく注射剤など他の剤形にすることを考える根拠にもなります。
もちろん、薬を使ったあとに副作用が出なかったかなど、あわせて安全性を確認することも目的の一つです。薬を1回だけ使う単回投与試験のあとには、たとえば一週間程度にわたり複数回使う反復投与試験を実施します。対象が健康な人ですので、有効性(病気をよくする作用)を評価することはできません。