- 2019.04.16
治験にまつわる実際の話(1)二重盲検試験用の治験薬の製造(その1)
二重盲検比較試験は、すでにご説明したとおりですが、被験薬(開発中のおクスリ候補)をプラセボ、あるいは、すでに使われている標準的なお薬と比較するため、治験担当医にも患者さまにも、そして治験を依頼している製薬会社にも、患者様がいずれを飲んだか分からないようにした試験のことです。
この時、被験薬と対照薬(比較薬)との外観が全く同じように製造しなければなりませんが、どのようにしたらよいのでしょうか?
被験薬と対照薬の外観
通常、被験薬と対照薬の外観は異なっています。飲み薬に限ってみても、剤形には錠剤やカプセルなどが考えられます。同じ錠剤、あるいはカプセルでも外観が異なるのが普通です。
治験では、被験薬や対照薬がカプセル剤や錠剤など、いろいろな場合が考えられますが、本来、外観が異なる被験薬と対照薬(既存薬の場合もプラセボの場合もあります)の外観を同じに作るのは、工夫が要ります。順を追ってご説明しましょう。
最も容易な治験薬の製造
最も分かりやすいのは、被験薬がカプセル、対照薬がプラセボで、被験薬の一用量をプラセボと比較する場合です。これは図のように製造すればよいことがお分かりでしょう。1回ごとに図で示されたカプセルを飲むことになります。
【被験薬(カプセル)一用量をプラセボと比較する治験薬】
※ここでは、図の上で区別するためカプセルの色を変えてみましたが、 |
複数用量を一種類のカプセルで比較する場合
高用量、中用量、低用量の三用量をプラセボと比較する場合、一種類のカプセルサイズを用いる方法があります。カプセルは限度以内なら、被験薬の量を変え添加剤の量を調整して充填できますので、仮にカプセルを開いても通常は区別がつきません。
【被験薬(カプセル)三用量をプラセボと比較する治験薬(カプセルサイズ一種)】
※ここでは、図の上で区別するためカプセルの色を変えてみましたが、 |
複数用量を一種類、複数個のカプセルで比較する場合
一種類のカプセルしか使えないと、高用量の薬剤量をカプセルに詰められないことがあります。その時は、5 mg, 10 mg, 15 mgのような倍数の用量設定であれば、次のような方法が可能です。
【被験薬(カプセル)三用量をプラセボと比較する治験薬(カプセルサイズ一種)】
※ここでは、図の上で区別するためカプセルの色を変えてみましたが、 |
今回はこのあたりまでとして、次回は、応用編を考えてみましょう。