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Short story

  • 2017年4月1日

副作用と主作用(その2)

 今回は有害事象と副作用とを区別しながら、副作用について、お話いたします。

 

副作用とは

 因果関係の否定できない有害事象を副作用といいます。因果関係の否定できた有害事象を除いた有害事象のことです。
 それでは、因果関係を判定するために考慮すべき事象とはどのようなことなのでしょうか?前述の厚生労働省の指針に沿って考えてみましょう。

 

① 投与中止後の消失
 治験薬投与中に有害事象がでたため、治験薬の投与を中止することはよくあります。中止して有害事象が消失すれば、治験薬と因果関係があったことが示唆されます。逆に言うと、やめても有害事象が消失しなければ、治験薬の因果関係はないかもしれません。この事象だけで因果関係が決められるわけではありませんが、他の項目とあわせて考えると推定できる場合があります。

② 投与再開後の再発
 治験薬を止めて有害事象が消失し、再度、治験薬を投与(re-challenge)すると、再び、同じ有害事象が発現した場合、治験薬の因果関係は高い可能性があります。

③ 既に当該被験薬又は類薬において因果関係が確立
 当該治験薬でかつて出た有害事象が、また出た、という場合、因果関係は可能性が高くなります。また、同じ作用機序を有し適応疾患も共通するような類薬で報告された有害事象が、当該治験薬にでた場合、因果関係の可能性が示唆されます。

④ 交絡するリスク因子がない
 たとえば、同様の有害事象を発現させることが知られた薬を併用していなかったなど、有害事象の原因となる他の要因がないという場合、治験薬の因果関係の可能性は高くなります。

⑤ 曝露量・曝露期間との整合性がある
用量を減らすと有害事象が軽減し、増やすと悪化する場合、治験薬と有害事象の因果関係の可能性は高まります。同じように、投与期間を長くすると有害事象が出やすく、短いと出にくい場合、因果関係の可能性は高まります。

⑥ 併用治療が原因である合理的な可能性がみられない
 併用薬は使っているが、併用薬が原因でこの有害事象を発現することは考えられない場合、治験薬が原因である可能性は高まります。

 

 このような観点から、治験薬と有害事象との因果関係を考察することが重要です。ある有害事象に関して、一人の患者さまからでは、因果関係を考察することが難しい場合には、多くの患者さまのデータを集めて考察する必要があります。

 

 治験や臨床試験で発現した副作用は母数(投与された患者さまの数)がわかっているため発現頻度(%)を計算できますが、発売後、国内外の医師から自発的に報告された副作用/有害事象では母数がわからず頻度は不明になります。

 副作用は、開発段階ではわからなかったものも、実際に承認された後、広く患者さまに処方されて初めて明らかになることが多くあります。医薬品の添付文書は、処方された患者さまが増えるに従い、新しい副作用に関する情報が適宜追加され、改訂を重ねていくのが普通です。承認後、長い年月のたったお薬は、副作用の状態、頻度、程度などに関するデータが積み上げられ、その点で、承認間もない新薬よりデータが充実しています。